アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息に代表されるアトピー疾患は年々増加しつつあり、国民の約3割はこれらの疾患を含む何らかのアレルギー疾患に悩まされていると言われています。本プロジェクトでは、アトピー性皮膚炎における重要な悪化因子として汗に注目し、その対処方法を開発するとともに、アレルギーの発症因子が存在しても病気にならずに暮らすための予防法を開発することを目指しています。
汗は、数あるアトピー性皮膚炎の悪化因子の中でも特に重要ですが、未だその本当の理由は明らかでありません。私たちは多くのアトピー性皮膚炎患者さんが汗中の物質に対してアレルギー反応を起こすことを証明しており、このプロジェクトではその物質を精製、同定し、その物質の特性に基づいて診断薬、予防用品、および治療薬を開発することを目指しています。
しかし、アトピー性皮膚炎には汗以外にも多くの悪化因子があり、現代社会の生活環境ではそれらのすべてを取り除くことは不可能です。ところが西川ゴム潟Oループの見出した微粉末こんにゃくグルコマンナンを食べさせたネズミは、そのままでは必ずアトピー性皮膚炎を発症する環境下でも皮膚炎を起こさず、血液中のIgEという物質の上昇も抑制されていました。そこで私たちは、そのしくみを細胞生物学的および分子生物学的手法を用いて解明し、こんにゃくを含む食品多糖類の有効な加工法とヒトに対する利用方法について研究しています。
さらにそれらの研究の手段として、細胞に何の操作も加えることなく生きた細胞の機能を調べることができる表面プラズモン共鳴(SPR)を導入し、新たな臨床検査法として利用する方法の研究も併せて進めています。これらの研究は各種企業と共同で進められており、その成果はアレルギーの発症・悪化を防ぐヘルスケア技術として産業化されることが期待されています。